2019年7月15日月曜日

2019年 東部部会 第2回 開催報告(7.13)

東洋大学・白山キャンパスにて、9月開催の全国大会報告予定者による研究発表が行われ、活発な議論が展開されました。
以下、報告します。

■日時 2019年7月13日(土) 13:00~16:45 (終了後、役員会)

■会場:東洋大学 白山キャンパス6号館 2階 6205教室

■参加者:20名

■【研究報告】

(1)津島晃一(事業承継Lab.)
「心理的オーナーシップ論による非親族承継の分類:個人保証に着目した3類型」
 


中小企業の事業承継が大きな社会問題となっているなか、非親族承継における「心理的オーナーシップ」論の適用可能性について報告されました。個人保証とりわけ二重徴求の弊害が知られるが、インラビューケースを主に3つの類型に分けて諸特徴を明らかにし、「経営者・後継者」、「金融機関」、「政策担当者」への含意を提示しました。


(2)池谷圭右(東洋大学大学院生)
「中小企業経営者の意思決定プロセスに関する実証研究-外部専門家の関与を中心として-」
 

中小企業経営者の重要な役割のひとつが意思決定であるが、そのプロセスの特徴と、その特徴の違いが外部専門家の利用形態や支援内容にどのように影響を与えるかが本報告のテーマでした。1000人超のアンケートデータ分析結果が報告され、定量的な研究の有効性とその成果の提示がなされました。


(3)川村 悟(関西外国語大学)

「統計史料から導く中小企業診断士の課題」
 

中小企業診断士制度の長い歴史に反して、その実態を歴史的に捉える資料は存在しなかったことから、地道なデータ収集とその接合、そこから浮かび上がる「時代の趨勢」と制度との関係が報告されました。1963年から現在にいたるまでの登録者数・試験申し込み数の継続的データの提供は貴重と思われ、学会における学術的基盤提供の貢献として敬意を表します。


(4)中村吉明(専修大学)
「「川崎モデル」とその波及による中小企業振興のためのエコシステムの創成」


大企業の保有する開放特許による中小企業の製品開発とその行政・金融機関の支援というテーマにおいて、「川崎モデル」は広く知られるが、経済学・経営学的研究としての本報告は貴重といえます。同モデルに関わるステークホルダーの主体、動機、役割、それらの関係とシステムが報告され、その独自性と全国への移転・ネットワーク化・広域化の可能性が論じられました。

いずれも着実なインタビューやアンケート調査に基づいた研究報告で、フロアからの積極的な質疑と報告者の回答でより高い水準の研究成果へ結実しそうな印象を受けました。その成果は、9月の全国大会で報告される予定です。
それでは、みなさま、名古屋でお会いしましょう。